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公開日:2020/01/01  

日本刀の鑑定書にはランクがある?種類や違いを知ろう!

日本刀の鑑定書は、公益財団法人 日本美術刀剣保存協会が発行する鑑定書に一番の信頼があります。協会の鑑定書には4つのランク(格付け)がありますが、鑑定はほかにも個人を含む多くの機関がおこなっており、それぞれの視点を持っていることは知っておきましょう。ここでは、日本美術刀剣保存協会の分類内容を中心に解説します。

日本美術刀剣保存協会が鑑定する格付けを紹介

冒頭でも触れた通り、日本美術刀剣保存協会は日本でもっとも信頼性の高い鑑定機関です。歴史は古く、戦後GHQが刀狩りを実施した際、何とかして伝統ある日本刀を守るために立ち上げられたという経緯があります。

昭和23年に団体として文部省の認可を受け、日本の刀剣をあくまでも美術的価値のある文化遺産として継承することを目的に、現在も活動をおこなっています。刀剣以外にも刀装や刀装具なども鑑定・指定し、台帳を作成してそれぞれの所在を明確にするほか、重要・特別重要刀剣類は図譜作成し、情報の整備管理もしています。

日本では数多くの博物館で刀剣を展示していますが、そうした活動にも非常に積極的なのが特徴でしょう。刀剣に関して全般的な専門知識を持ち、さまざまなサポートをおこなう鑑定元として広く認知されています。

また、協会のほかにもNPO法人 日本刀剣保存会が数多くの鑑定をおこなっており、刀剣を文化遺産として後世に継承する活動に貢献しています。それでは、日本美術刀剣保存協会が刀剣の価値基準を明確にするため、鑑定書にて分類している刀剣の格付けを紹介して行きましょう。

【格付け4】

保存刀剣このランクは一番下になります。認定条件は、江戸時代までの刀剣で銘があるものや、南北朝時代までの著名な刀工の銘が確認できることです。

また系統や年代、国などが特定できるもので美術品として鑑賞に堪えうる場合、認定されることもあります。一定の基準をクリアしているかどうかは審査員が見て合格・不合格を決定します。

【格付け3】

特別保存刀剣保存刀剣のランクとして認められたもののうち、特に価値が高いと認められるものがこのランクになります。評価ポイントは保存状態の良さで、錆や刃こぼれがなく、鑑賞するうえで特に美しいとされる場合に認定される可能性が高いでしょう。

また、著名な刀工の銘があればもちろんですが、銘がなくてもその手によるものではないかと考えられる場合も、認められるケースがあります。優れた出来栄えであれば鑑定書が発行される可能性も高いでしょう。

日本美術刀剣保存協会の格付け上位を紹介

【格付け2】

重要刀剣No.2とは言え、もちろん合格すれば非常に高い価値を持つ刀剣として認められることになります。特別保存刀剣に該当するものを対象としてさらに詳しく鑑定されますが、重要刀剣は国が定める重要美術品と同レベルの美術品です。

もちろん、特に出来栄えが優れたものである必要がありますが、保存状態も重視されます。名工の手によるものでもダメージがひどい場合は、重要刀剣のランクとしては認められないこともあるほどです。時代としては平安~江戸時代までに作られたもので、この時代であれば無銘でも合格する場合もあります。

【格付け1】

特別重要刀剣格付けNo.1が特別重要刀剣です。もちろんすべての刀剣の中で一番高い価値を持ち、世に出れば一躍注目を浴びる美術品となります。レベルとしては重要文化財に匹敵するもので、出来栄えや保存状態が優れているのは当然のことながら、歴史的資料として価値の高いものが該当します。

例えば前田家に伝わる脇指「伝貞宗」が有名ですが、加賀国金沢藩前田家藩主が所有する品で、刀工は相模国貞宗と伝わっています。刀剣は時代によって変化を遂げており、年代の特徴を持つ刀剣は特に貴重な資料です。大名が所有していたような名刀は歴史的にも高く評価されますが、これは同時に状態が良いものが多く見つかるためでもあります。

実用されていた刀は柄の部分が傷むため作られたまま綺麗な状態で残っていることは稀ですが、大名は実用せず家宝としていたケースが多いためダメージが少なめです。そのため、特別重要刀剣に合格する刀剣の多くは大名家に伝わる刀剣の場合も多く、歴史ロマンも秘めた逸品と言えるでしょう。

審査されるポイントを解説

詳しい格付けについては前述の通りですが、一般的に日本刀を鑑定する際、どのようなポイントが審査されるかをまとめておきましょう。まず、銘の有無は必ずチェックされます。これはもっとも刀剣の出所がわかりやすい鑑定項目であり、どこに銘が打ってあるかによってもその刀剣の時代や用途を知る手掛かりになります。

もちろん銘が打ってあったとしても、その真偽は吟味しなくてはなりません。また、名工の手によるものでも中には銘がないものも存在しているため、茎の形や目釘穴の位置などから正解を導き出さなければなりません。もっとも、鑑定士は刀姿を見ただけでもおおよその同定はできるほど、知見が深いプロフェッショナルです。

刀剣は刀工だけでなく時代や地域によっても作風が異なるため、特徴を現すことになります。ただ、鑑定士の直感的な判断だけでは鑑定基準が明確にならないため、日本美術刀剣保存協会は4つのランク付けをもって分類しているわけです。ただ、意味合いとしては文化遺産継承としての価値ですので、もちろん最終的な価格設定が直接決まるものではないことも覚えておきましょう。

 

日本刀にはさまざまな種類がありますが、もっとも信頼されている日本美術刀剣保存協会の鑑定について解説しました。刀剣は刀工の手だけでなく、時代によっても地域によってもさまざまな違いがあり、どれもすべて歴史を物語る重要な逸品であることは間違いありません。

ただ、現代の刀剣は美術品としての価値が求められる以上、保存状態は大きくランクに影響を及ぼします。刀剣類を所有するのであれば、保管に関しては細心の注意を払う必要があることを肝に銘じておく必要があるでしょう。

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