遺品を整理したら刀剣などが出てきたということがあります。
その際、持っていても大丈夫なのか、申請や登録が必要なのかと不安になります。
そして、ずっと所持していても使わないから買取依頼するにしても必要なものは何でしょうか。
銃砲刀剣類登録証が必要
日本刀や刀剣は銃砲刀剣類所持等取締法で例外を除いて所持することが禁止されています(法第3条)。もっとも、日本刀などには古くからあるものとして文化財保護の観点から所持する必要があります。
そこで法の例外の一つとして美術品として価値のある刀剣類に関しては所有者の住所地にある都道府県教育委員会で登録をすれば、所持することができます(法第14条)。この登録を記したものを銃砲刀剣類登録証といいます(法第15条)。
そもそも登録に必要な刀剣は何でしょうか。法によれば、刃渡り15cm以上の刀、刃渡り5.5cm以上の剣が該当します(法第1条第2項)。従って、この数値以上の刀剣を所持するには都道府県教育委員会で登録された銃砲刀剣類登録証が必要になります。
この銃砲刀剣類登録証は登録された日本刀などを所有している者に対して交付されているのではなく、日本刀などそのものに対して交付されています。従って、売却や買取などをしても登録証自体は有効です。
ただし、登録証とともに売却や買取をしなければならず、新所有者は20日以内に所有者変更の届出が必要です。 登録をせずに所持をしていた場合、違法行為でありこの場合は1か月以上3年以下の懲役又は1万円以上50万円以下の罰金に処せられます(法第31条の16第1号)。
3年以下の懲役なので執行猶予はつく可能性があり(刑法第25条)、情状によって裁判前の検察で起訴猶予などの処分があり得ますが、前科や前歴がついてしまうので登録は必須です。
刀剣を発見した場合の手続きと登録
では、古い家や遺品を整理したら日本刀などが発見した場合はどうすれば良いのでしょうか。この場合、刀剣が見つかった地域を管轄する警察署に発見を届けなければなりません(法第23条)。
なお、原則発見した本人以外の届出は許されていません。届けると警察署から「発見届出済証」が交付されます。 そして、登録申請書に必要事項を記入して郵送で申請し、審査会の予約をします。審査会受付でこの発見届出済証を提出し手数料を支払います。手数料は1丁につき6,300円です。
登録審査委員の鑑定を受けて、登録の基準に満たせば、都道府県教育委員会より銃砲刀剣類登録証が交付されます。 この登録の基準は何でしょうか。日本刀の場合ですと史料的価値性、姿や彫り物等に美しさが認められるかどうか、各派の伝統的特色が明らかに示されているかなどの各基準の一つが満たされるかどうかで判断されます。
登録されなかった刀剣については、基準に満たされず登録されない日本刀などは原則として所持はできなくなります。お住いの地域の警察署に「登録不可通知書」と日本刀などを渡せば、無料で廃棄処理がなされます。でも、遺品や形見なので捨てられない場合があります。この場合には国公立の博物館や美術館に観覧されることを前提に、文化財保護のために登録証がなくても所持や保管が許されています(法第4条第1項第10号)。そのため、寄付などの手続きをとる必要があります。
刀剣を売却や買取をする方法と登録証の検索
登録された刀剣を売却や買取をするには、この銃砲刀剣類登録証が必須です。この登録証を持って買取などを依頼します。
まず銃砲刀剣類登録証があるかどうかを確認しなければなりません。登録証は登録した時代によって2種類があり、昭和50年代後半まではA7サイズの用紙で記載されていますが、昭和50年代後半以降のものはB7サイズでラミネート加工がされています。この登録証は昭和26年から発行されていて、60年以上続いています。
この登録証は、大抵は刀と一緒に紐で括り付けられていたり、鑑定書の袋の中や、土地の権利書や重要なものが入っている金庫や仏壇の中などにあることが多いです。従って、このあたりを中心に探さなければなりません。
登録証を紛失してしまった場合は、発行された都道府県教育委員会の指示を受けて書類に記入後、その書類と刀剣をもって指定された審査日に鑑定を受けなければなりません。受けて同一のものであるとして審査が通れば、再交付がなされます。再交付の手数料は3,500円です。
なお、登録については代行してくれるところがあります。というのも、審査日は各都道府県教育委員会によって異なっていて、1ヶ月~3ヶ月に1回程度です。従って、時間がかかってしまうことが多いです。よって、時間に余裕がない方は代行してくれるところを利用すると良いです。ただし、前述したように発見した際の警察への届出は原則本人のみです。
日本刀などの刀剣類を所持や買取をするには、都道府県教育委員会が発行された銃砲刀剣類登録証が必要です。
これらを所持しないと罰則がありますので、諸手続きをしなければなりません。
そして、銃砲刀剣類登録については代行してくれるところがあります。