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公開日:2021/09/01  

日本刀を保存する拵と白鞘の取り扱い方!買取時までに保存状態をよくしておこう


鞘(さや)と茎(なかご)を入れる柄や鍔を総称して、日本刀の外装である拵(こしらえ)といいます。白鞘(しろさや)は普段着や寝間着の役割を果たし、通常は白鞘の中に刀を収めておくようです。今回の記事では、白鞘と拵の取り扱い方と、売却時までの保管方法を紹介しましょう。日本刀の売却を検討している人は、参考にしてください。

拵と白鞘の保存方法

刀は鉄製のため、さびは避けられません。鉄がさびる原因は空気中の湿気が第一の要因です。拵は表面に漆が塗布されているため気密性は高く、刀身がさびやすくなってしまいます。とくに、古い拵に入れたままにしておくと、さびが出やすくなるでしょう。

その理由から、一般的に刀身は白鞘に入れて保存しています。拵や白鞘は木材からできているため、作りたてのものは膨張や収縮が落ち着くまで1年以上かかるでしょう。使い始めは、乾燥しすぎない暗所で保存することがおすすめです。拵は柄巻きが施されている場合は、柄糸が風化してきてしまいます。

とくに黒は鉄漿が酢酸第一鉄で染められていることが多く、絹の場合は百年程度、木綿や麻など植物性の繊維のものにおいては数百年経ったものもあるようです。白鞘は朴の木からできており、刀身の保存に適しています。

しかし、季節や気温、湿度によって状態が変化してしまうのがデメリットです。少なくとも十年以上自然乾燥させた朴の木を使いますが、それでも天候からの影響は避けられないでしょう。白鞘の変化が精緻な工芸品である刀身に影響を及ぼしてしまいます。冬から春にかけての湿度が低く、乾燥する時期には、鞘は固く締まるようです。

逆に湿度の高い梅雨の時期から秋の間は鞘と柄は緩くなります。緩いからといって無理に詰めものをしてしまうと、冬に割れてしまう原因となるため、緩すぎる場合以外は刀がなじむのを待ちましょう。白鞘はさびが出た場合に、すぐに割って内側を掃除できます。

拵は簡単に掃除できないので、使わないときは必ず白鞘で保存するようにしましょう。数か月に1度程度のペースで手入れをするのが理想です。定期的に手入れをすることで、さびを避けることができます。着物と同じように、年に何度か天気のよい乾燥した日に虫干しするとさらによいでしょう。

鞘から刀身が抜けなくなってしまったら

冬季によく起こるトラブルとして挙げられる現象は、鞘から抜けなくなってしまうことです。これはもとになっている木が、乾燥が原因で収縮してしまうことから起こります。鞘から刀身が抜けなくなってしまったり、一度抜いた刀が最後まで収まらなくなってしまったりするのです。

ひどい場合は、一晩リビングに置いておいただけで割れてしまうこともあります。解決方法としては加湿することで、一番安全なのは湿気の多い梅雨の時期になるのを待つことですが、湿度が高いお風呂の脱衣所などに置いておくことで直る可能性があるのです。刀身は白鞘に入れた後、湿度が少ない場所に保存するのが理想的です。

一方、拵は乾燥した場所での保存にあまり適していません。冬季以外に起こるトラブルで鞘から抜けない原因がさびの場合、まずは目釘抜きで目釘を抜いて、左手で柄を握り、そのまま左手の手首をとんとんとたたくと抜けるはずです。

抜けない場合は、部屋の湿度を高めたりゴムハンマーで軽くたたいたりしてみましょう。もしそれでも抜けないようなら、防さび潤滑剤を使ってみることをおすすめします。鯉口が固くなってしまって抜けない場合は、無理に抜こうとすると思わぬけがをする恐れがあるので気をつけてください。うまく抜けたら、緩めに収めるようにしましょう。

袋の結び方

白鞘や拵を保存する際には、刀袋や拵袋に入れておくことが大切です。袋で保存することで日焼けから白鞘や拵を守り、刀がむき出しのままの状態から保護できます。白鞘袋は比較的シンプルで薄手なものに入っていることが多いですが、拵袋は金襴織物でつくられていることが多く、豪華な柄で厚手な袋に入っているようです。拵は刀身のように白鞘で守られていないため、厚い袋で保護する必要があります。袋の結び方は次のとおりです。

・刀袋におさめた後、袋を折り返して房紐を巻く
・柄のある部分を包み込むように巻く
・房紐を巻いていき紐の残りが30cmくらいになるまでぐるぐると巻く
・結ぶ分の紐を巻きあげたところに挟み、通した紐を左右に開いて房をその上におろす
・上に開いたほうの紐を手前におろし、左右に折り下げる
・残った輪を根元にくぐらせて形よく締めなおして完成

 

日本刀を保存するための拵と白鞘を適切に取り扱い、状態をよくしておくことで買取を考えたときに、よりよい査定額をつけてもらうことができます。それぞれの取り扱い方を知っておくことで、手入れの方法も次第にわかってくることでしょう。手順や取り扱い方法を覚えるまでは大変ですが、定期的に手入れをすることで刀への愛着も強くなり、よい状態で保存できます。

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