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公開日:2018/07/15  

日本刀・刀剣の素材は何?

日本刀・刀剣の素材は何?

日本刀や刀剣はとても丈夫で折れないという特徴を持っていて、さらに切れ味も良いという点で世界的にも注目されてきました。
どのような素材を使っていることによってこのような逸品が作られているのでしょうか。
使われている素材について詳細を理解しておきましょう。
鉄が使われているというのはよく知られていますが、実は鉄にもかなりの種類があります。
どんな性質のものが使われているのかを知っておきましょう。

 

日本刀や刀剣の素材は基本的には鉄

日本刀や刀剣に使われている素材は端的に言ってしまえば洗練された組成を持っているです。
様々な金属製品には鉄が使用されていますが、日本刀や刀剣とはまるで材質として違う様相を呈していることがほとんどです。
これは鉄に含まれている不純物に違いがあるからで、それによって金属としての性質がお菊左右されています。
鉄には精錬の方法によって様々な種類があり、比較的加工しやすい銑鉄錬鉄は昔からよく用いられてきました。
原料となっているのはどれも鉄鉱石や砂鉄という点では同じなのですが、製鉄の仕方によって性質が大きく変化しています。

〇製鉄の主な目的
高温で加熱することにより水や酸素を失わせて不純物を減らすことです。
銑鉄、鋼、練達という分類は主に不純物として含まれている炭素の量によって定義されています。
銑鉄は2%から5%の炭素を含んでいて、高温で叩くと崩れてしまうほどもろいものになっています。
鋳物の原料としてよく用いられていて加工しやすいメリットがある素材です。
鋼は0.3%から2%の炭素付を含んでいて、適度な硬さがあって焼入れによってより硬くできるという性質があります。
日本刀や刀剣に用いられているのは鋼の一種です。
なお、錬鉄はさらに精製を行って炭素の含有量を0%から0.2%にまで低下させたもので、極めて粘りがある鉄になります。
逆に硬度という観点ではあまり優れていないのが錬鉄の特徴です。
このように鉄は素材として様々な種類があり、最も日本刀や刀剣に適しているものが試行錯誤によって生み出されてきました
しかし、鋼を製造する技術は日本に独自というわけではなく、世界的にも古くから作られています。
それでも世界から注目されるようになっているのは製造技術に違いがあるからです。
日本刀や刀剣に用いられている鋼は玉鋼と呼ばれている高純度の鋼で、これを生み出す技術を完成させたのは日本となっています。

 

日本刀や刀剣に使われている玉鋼

玉鋼は日本でたたらが開発されたことによって効率的に生産が可能になった鋼の一種です。
炭素量は1%から1.5%程度になっていて、硬度として日本刀や刀剣に優れた程度のものにできているのが特徴です。
また、他の製法で作った場合に比べて酸素の含有量が高めで、炭素以外の不純物となる元素がほとんど含まれていません。
この純度の高さが鉄の脆さを克服して丈夫で適度な硬度を持つ素材を作り上げることにつながっています。
このような高純度の鋼を作り出すことができたのはたたらの恩恵であり、良質な砂鉄を原料として用いて低温でじっくりと製鉄を行う技術として活用されてきました。
江戸時代の中期頃に完成された技術がその後は利用されていますが、それ以前から着実に積み上げられてきた知見に基づいて生み出された技術で、発祥は古代と言われています。
この製法では鉄の純度が異なる左下鉄、包丁鉄も作られる仕組みになっています。
そして、たたらで製鉄した中でも最も良質な部分が玉鋼として日本刀や刀剣に応用されています。
 

 

玉鋼だけで作られているわけではない

日本刀や刀剣の主な素材は玉鋼ですが、通常は純粋な玉鋼だけで作られているわけではありません。
さらに強度を高めるために他の鉄を少し混ぜることで地鉄と呼ばれる素材を作っています。
これによって硬度の異なる鋼を作ることができるのです。
そして、刃の内部の芯に近いところには純度が高くて比較的軟らかい地鉄を使い、外側に向かうにつれてだんだんと純度を下げて硬度の高いものを使用するといった形で日本刀や刀剣が作られています。
これによって内部は柔軟性が高く、外はしっかりとした強度を持った日本刀や刀剣が生み出されているのです。
製鉄の技術に加えて地鉄を作り出す職人芸が必要とされているのが日本刀や刀剣の製造なのです。

〇まとめ
日本刀や刀剣に用いられている素材は鉄の中でも日本で完成されたたたら製鉄の技術によって生み出されている玉鋼です。
適度な炭素含有量を持っていて硬さと軟らかさのバランスが良いのが特徴で、焼入れによって硬度を高められる点でも日本刀や刀剣の製造に向いています。
しかし、それをそのまま使っているのではなく、他の鉄を混ぜることによって硬度の異なる地鉄を作り、刃の内側と外側で異なる組成のものを使うことによって鋭い切れ味と丈夫さを兼ね備える日本刀や刀剣が生み出されています。
ただ素材が優れているだけでなく、職人の手によって適切な組成の鉄素材が生み出されることによって世界からも注目される日本刀や刀剣が作り上げられているのです。

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