かつては神器・武具として、現代では美術品として高い価値を誇る日本刀は、日本のみならず世界中の人々の心を捉えています。中でも妖刀と呼ばれる作品については、興味を持つ人も多いのではないでしょうか？妖刀は歴史上にも多くの逸話が残っており、現代でもフィクション作品に登場するものです。今回の記事では、妖刀について解説します。
妖刀にまつわる歴史上のエピソード
日本刀の世界で妖刀といえば、村正によって作られた刀のことをいいます。村正は室町時代にその名をとどろかせた名匠です。彼の作品は、徳川家に数々の不幸をもたらしたと伝えられています。そのいい伝えは松平清康の頃から始まりました。
松平清康は徳川家康の祖父にあたる人物で、村正の刀によって殺害されてしまったのです。それに続くようにして、徳川家康の父にあたる人物・松平広忠も、村正の脇差によって傷を負います。もちろん家康自身も例外ではなく、村正が作った槍によって負傷しているのです。
家康の嫡男である信康においては、謀反の疑いをかけられた際の介錯に村正の刀が使われたという話が残っています。さらには、家康と敵対していた真田幸村が村正を所有していたといわれることもあるようです。江戸時代には、討幕派の人間が村正を手にしようとしたとも伝えられていますね。
これらの逸話が、どれだけ史実に基づいているのかについては疑問が残ります。しかし、このような多くのエピソードによって、村正は徳川家に仇なす刀として現在でも広く知られることとなりました。また、現代では村正に限らず、妖しい力を帯びた刀を広く妖刀と呼ぶことが多いようです。中には不幸だけでなく幸運を呼ぶとされる妖刀もあり、さらなる興味をかきたてられますね。
アニメ・漫画などに登場する妖刀は実際にある？
妖刀はアニメや漫画、ゲームなど、フィクション作品にもよく登場しますよね。有名なアニメの劇場版にも村正が登場したことがあり、他にも名前を耳にするシーンが多いのではないでしょうか。妖刀が出てくると「この刀も実際にモデルになったものがあるのかな？」という疑問を持つ人も多いと思います。ここでは、アニメや漫画に登場する妖刀について紹介しましょう。
実在する妖刀として有名なのは、漫画『ぬらりひょんの孫』に登場した祢々切丸ではないでしょうか。形状こそ違うものの、祢々切丸という同名の刀は存在しています。モデルとなった祢々切丸は大太刀で、南北朝時代に作られたと伝えられる名刀です。現在は国の重要文化財にも指定されており、祢々と呼ばれる化け物を退治したというエピソードも残っています。何ともロマンのあるお話ですが、アニメや漫画に出てくる妖刀は大変不思議な力を持つものが多く、名前にインスピレーションを得ていることはあっても実在しないことの方が多いでしょう。
他にも、人気の少年漫画の主要キャラクターが刀を使用しており、その刀は「特異な存在感まで放つ」という妖刀ぶりをみせています。しかし残念ながら、特異な存在感を放つような妖刀は実際にはないようです。ただし漫画に出てくる妖刀には、モデルになった刀があります。漫画のモデルとなった刀としては、先にも紹介した村正であるともいわれているのです。架空の妖刀について調べてみるのも、より深く日本刀を知るきっかけになりそうですね。
妖刀でも買取してもらえる？
日本刀の買取りを行っている業者は数多く存在します。もちろん、妖刀も買取りに出すことが可能です。いわくによって引き取ってもらえないなんてことはまずないでしょう。むしろ妖刀には一級品が多いことから、高値が付くこともあります。
ただし、注意点も存在するものです。どのような日本刀にもいえることですが、必ず専門の業者に買い取ってもらうようにしましょう。近いからといってリサイクルショップなどに持って行ってしまっては、本来の価値に気づいてもらえないこともあります。鑑定士が在籍している専門業者など、信頼が置けるところを選んでください。査定は無料で行ってもらえることが多いので、何件か回ってみるといいでしょう。
手入れはしっかりと行い、錆や汚れがあればとっておくのがベターです。「受け継いだものだから手入れの仕方なんてわからない！」という方は専門の業者に依頼をするか、買い取りを相談する業者に事前に伝えておきましょう。長く受け継がれてきた日本刀は劣化もしやすいため、手入れするのが難しい状態であれば、早めに買い取ってもらうのも有効な選択肢であるといえますよ。
妖刀には日本刀愛好家のみならず、詳しくなくても興味をわきたたせる要素が多くありましたね。日本刀の世界はまだまだ奥が深いです。興味を持った人は、これを機に名刀の歴史などにも触れてみてはいかがでしょうか？また、もしも家や所有品の中に「妖刀を見つけた」という人がいるなら、専門の刀剣買取業者に査定してもらうようにしましょう。その際は、本当の価値をわかってくれる業者を選ぶよう、充分に注意してください。