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公開日:2020/09/01  

日本刀はどうやって作られるのか

インターネットの普及によって、鮮明な動画や写真という形で日本文化が海外に紹介されています。そんな紹介されている日本文化において、その代表ともいえるのが古来から日本で根付いていた古美術品です。その古美術品でも、現在に語り継がれている日本刀は特に国内外で人気を得ています。

最初は玉鋼という材質を作る

日本刀づくりにはいくつかの工程がありますが、最初におこなう工程というのが玉鋼という特殊な材質を作り出します。日本刀は一見固そうに見えますが、切るときにはしなやかな弾力性があることによって少しだけ折れ曲がって切断をしています。

薄い刃先でも丈夫に切れるのは、鉄だけでは固くなるので柔軟性を維持しながら強度を増すために別の材質を混ぜ合わせます。それが鉛などの炭素系の金属を加えることであり、炭素系の金属を加えることで鉄の組織をつなげることによって折れにくくするのです。

鉄に炭素系の金属を加えるというのは言葉では簡単ですが、実行するのはとても難しい技法になります。鉄に炭素系金属を混ぜるときには、1000度以上の高温の中に入れて融合させる必要があるのです。

この融合の見極めが大事であり、加熱が足りなければ金属同士の結びつきが緩くなってしまいその後の工程の際に破損しやすくなり使いづらくなります。逆に加熱しすぎてしまうと、鉄と炭素系金属の組織が壊れすぎてしまい使い物にならなくなるのです。

そのため鉄と鉛などの炭素系金属を適切な形で融合させるには、長年の経験を積んだ技師が材質の状態を見ながら鉄ハンマーで打ち続けることが必要になります。そして経験を積んだ技師が、うまく鉄と炭素系金属の融合に成功し玉鋼の製造に成功したら刀づくりの工程に入ります。

熟練の技士による刀にするための鍛錬の工程

刀が打てる最高の玉鋼ができたら、今度は玉鋼を刀にする工程に入ります。でき上がった後冷ました玉鋼は固いので、再び1000度以上の窯に入れて加熱し柔らかくします。もちろん柔らかくするにもやりすぎは品質を劣化させてしまうので、ここでもしっかりと長年の経験則から最適なタイミングを割り出すのです。

そして最適な温度に達して柔らかくなったら取り出して、熱い状態のまますぐに鉄ハンマーを駆使して叩いて伸ばしていきます。ただ一度の作業で終わるものではなく、叩いていくうちに冷めて硬くなっていくので再び窯で加熱して柔らかくしたら叩いて伸ばすという作業を繰り返します。

この作業の意味は薄く延ばすことが目的ですが、高温で加熱して叩くことによって玉鋼の中に残っている不純物を取り除くという意味合いも持ちます。不純物は刀の組織に悪影響を与えて強度を弱くしてしまうので、ここで高温の加熱で不純物を取り除くことで強度を維持できるのです。

そして不純物を取り除けたことを確認できたら、再び窯の中に入れて加熱をして柔らかくしたら、再びハンマーで叩いて極限まで薄くしたら熱いうちにすぐに成形に入って刀の形にするのです。

最後に専門技師が切れ味を生むための研ぎ

刀の形にしたら作業8割は終了ですがこの段階では単なる刃物であり、ここから正式な日本刀を作る作業に入ります。刀の原型ができたら、日本刀にするために研ぎの工程に入ります。

日本刀が切れる原理というのは包丁と同様で、目には見えないですが切り落とす部分が目に見えないギザギザの形をしているのです。見た目ではわからないギザギザの凹凸を作るために、ここでも熟練の技士による研ぎの作業に入るのです。

研ぎをするのには専用の研ぎ石を使い、でき上がった刀の刃を研ぎ石を使って何度もこすり合わせます。一度擦ったら水で洗い流して刀の様子を見て、研ぎが足りなければ再び研ぎ石で研ぐという工程を繰り返して切れ味を作るのです。

研ぎあがった目安として、業師が自分の髪の毛を一本抜いて研いだ刃先に当てて息を吹きかけるだけで着られることを確認するという伝統手法があります。現在では、専用の切れ味を確かめる材料というものがあるので確認して刀づくりの作業が9割完了です。

最後の工程として、刀の形にあった手で持つ部分と納めるための刀の鞘に収納して刀づくりは完了という形になります。最後に刀に専用の焼き印を使って作った名工の名前を記し、湿気の影響を受けないようにヒノキなどの木材で作った入れ物の中に入れて世に出回ります。

 

日本刀が芸術品として扱われる理由としては、品質によっては100年経ってもきれいなままであり続けることです。それは高温の火を使って鍛錬を続けることによって、玉鋼の中の不純物を焼失させることで湿気や酸化の影響を受けないようにしているのが理由になります。

ただ影響受けないレベルで鍛錬をするには、何度も言うようにすべての工程において材質の状況を見極める技士の存在があってのことです。その業師が作り出す歯垢の技こそが、日本刀を芸術品として扱われる所以であり国内外の買取で高評価を得る理由になります。

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