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公開日:2018/05/01  

日本刀の鑑定方法について

日本刀の鑑定方法について

鑑定とは

その日本刀の作られた時代と作った作者の名前を突き止めることです。

鑑定によってその日本刀の大まかな価値というものが決まり、値段を決めるときのひとつの参考となります。

日本刀の鑑定には

日本美術刀剣保存協会や日本刀剣保存会などがあり、それぞれ独自の鑑定を行い鑑定書の交付をしています。

鑑定書のある日本刀は本物として認められ、多くの刀剣ショップでの買取査定の参考要素のひとつとされています。

 

日本刀の鑑定方法

日本刀の鑑定に際してもっとも大切なことは日本の地理歴史をよく知っていなければならないということです。
すなわち、日本刀に日本の歴史が集約されているということです。
長く反りかえった平安時代の太刀から短く反りの少ない刀・打刀に変わったのは何故なのか?

なぜ日本刀の価値が切れ味から美観へと変遷していったのか?

すべては日本の歴史が物語っていることです。
日本刀の鑑定をする鑑定士たちは日本刀の妖しい輝きの中に日本の辿ってきた歴史を見つつ、どこで作られた誰の作品であるかを突き止めるのです。

① 在銘か無銘かのチェック
もっともわかりやすい鑑定項目が銘の有無の確認です。
銘とは製作者のサインのようなもの、刃を上向きにしたとき中央付近に見られます。
仮に在銘であればその真贋を確かめ、無銘の場合は銘を突き止めることが鑑定士の仕事になります。

② 銘の真贋のチェック
日本刀の、刀身からの金属部分が柄の内部に入っている部分を茎(なかご)と言います。
この茎に銘が入っている場合もあります。
茎を露出させるには柄にある目釘(めくぎ)を抜いて柄から刀身を引き抜かなければなりません。
茎の形や目釘穴の位置・形は作者を特定する有力な手掛かりとなります。
在銘・無銘にかかわらず重要な鑑定方法です。
この作業は容易なことではないのでご自分で確かめる場合には慎重の上にも慎重を期して行う必要があります。

③ 外観から推定する
刀姿から日本刀の同定ができるのは、日本刀への知見の深いプロの鑑定士ならではです。
日本刀は時代によって形状が異なり、また作られた地域によって作風が異なります。
慶長年間以前の長く反りの大きい日本刀を古刀と呼び、それ以降の短めで反りの小さいものを新刀と呼びます。
さらに刀身にライトを当て地鉄や刃紋を確かめます。
刃紋はそれぞれの作者によって特徴があり、鑑定の大きなカギとなります。

④ 刀装によるランク付け
直接的な鑑定とは若干異なりますが、日本美術刀剣保存協会の発行する鑑定書には保存刀剣、特別保存刀剣、重要刀剣、特別重要刀剣の4つのランク付けが為されています。
このランク付けは文化遺産継承としての意味合いが強く、鞘や装具を含めて制作時の形をどれだけ維持しているかが大きなポイントとなります。
ランク付けによって日本刀としての価値は高まりますが、価格設定と直接的なつながりはありません。

 

日本美術刀剣保存協会と4つのランク

日本刀の鑑定には個人を含むさまざまな鑑定機関がありますが、もっとも有力で信頼性が高いと言われているのが公益財団法人日本美術刀剣保存協会です。
日本美術刀剣保存協会はGHQによる戦後の刀狩りから日本刀を守るために昭和23年に文部省の認可を受けて設立された団体です。

日本刀を美術的価値の高い文化遺産として継承していくための活動を行っています。
その一環として鑑定書を発行し、それに付随して日本刀をランク付けして4分類しています。

① 保存刀剣
江戸時代までの銘や南北朝時代までの名工の在銘のもの、あるいは無銘でも年代や系統が特定できるもののうち、鑑賞に堪えうる日本刀が認定条件となります。

② 特別保存刀剣
保存刀剣の中でもより保存状態の良い日本刀が認定されます。

③ 重要刀剣
特別保存刀剣の中でも平安時代から江戸時代までに作られた日本刀で、国の認める重要美術品等に準ずるほどの質を持ったものという認定条件になります。

④ 特別重要刀剣
重要刀剣の中で、国の重要美術品等と同等、あるいはそれ以上の美観や質を持ち、保存状態のよいものが認定されます。
このクラスになると買取査定価格にかなりの影響を及ぼします。

 

五箇伝の作風を知る

日本刀の5つの作風を表す五箇伝という言葉があります。
山城国で確立された作風を「山城伝」

大和国のものを「大和伝」

備前国の「備前伝」

さらに美濃国の「美濃伝」

相模国が「相州伝」 と呼ばれます。
この5つの地域による作風を総称して「五箇伝」と言います。
それぞれの作風を把握することによって銘のない日本刀の鑑定が容易になります。

 

美的文化遺産として継承していくために

近年はテレビや雑誌等で日本刀の鑑定ノウハウが紹介され、それなりの知見を持った日本刀愛好家が増えています。
そのため、必ずしも鑑定書の必要性を感じないという方も少なくありません。
実際のところ、それぞれの機関によりまったく異なる鑑定結果を得るというケースもあります。

鑑定方法としてタイムトリップして調べ上げることは不可能ですから、より近い真実を推測するほかにありません。
そのためにはご自分を含め多くの方の目に触れさせることが重要です。
なぜなら日本刀は美術的価値の高い文化遺産なのですから。
美しいものは多くの人の目に触れてこそ映えるものです。

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