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公開日:2020/12/01  

日本刀の鑑定士には資格が必要?


「日本刀の鑑定士になるためには資格を取得しなければならないだろう」と考えている人も多いでしょう。確かに専門性の高さが求められるのは事実ですが、本当に何か資格を取得する必要があるのでしょうか。この記事では鑑定とは何かということを明らかにしながら、資格が必要なのかどうかについて詳しく解説します。

日本刀の鑑定についての考え方を知ろう

日本刀の鑑定士になりたいと考えたときに多くの人がイメージしているのは日本刀の買取店で刀剣類の真贋を見極め、その価格がどのくらいかを判断することでしょう。ただ、これは厳密にいえば鑑定をしてから査定をするということになります。鑑定とは厳密にいえば真贋を見極めることだけを指すからです。どの刀工がいつ頃作り上げた日本刀なのかを見て判断できる眼力があると鑑定ができるということになります。

ただ、鑑定ができたとしても査定ができるわけではありません。真贋がわかっても市場でどのくらいの価格で取引されるのが妥当なのかを判断できるとは限らないからです。そのためには傷や汚れ、さびなどの状態や、刀工の人気の有無なども熟知していることが必要になります。

つまり、査定には鑑定とはまた別の知識や能力が求められるという点に注意しましょう。査定をするには実は鑑定ができなくても問題はなく、鑑定書が付いていれば本物だと判断して価格を決めることが可能です。鑑定士をイメージしたときに鑑定書を作成できる人と考える場合もあるでしょう。

鑑定書は日本美術刀剣保存協会や日本刀剣保存会といった機関が独自に発行していて、それぞれの機関で審査会を設けて鑑定を実施しています。たとえば、日本美術刀剣保存協会では審査によって四種類の刀剣鑑定書を出していて、その違いによって売買の際の査定価格にも大きな違いが生じることが知られています。

この鑑定書の考え方は保存価値がどれだけ高いか、保存状態がよいかという二つの観点が重視されているのが特徴です。鑑賞できる価値があるくらいの保存状態でないと鑑定書を交付してもらうことができません。つまり、真贋を判断することだけでなく保存状態も加味した鑑定ができる人でなければ担当することは不可能ということになります。このように鑑定と一言でいってもかなり複雑だということは理解しておきましょう。

鑑定にも査定にも資格は必要がない

資格の必要性については結論からいえば不要です。鑑定士になるにも査定をするにも資格がなくて問題はありません。正確にいえば、医師が治療をする、薬剤師が調剤をするといった形で国家資格によって業務が制限されているわけではありません。

鑑定書を発行するには発行可能な機関に所属し、その内部審査を受けて鑑定するための力を持っているかどうかを判断してもらい、認められるというプロセスが必要になります。とくに資格という形で明示できるものではなくとも、険しい道のりになることは明らかでしょう。査定についても同様で、日本刀の価格を適切に提示できるようになるには熟練の経験と膨大な知識が必要です。

日本刀の買取店の店主になるか、従業員として働けば査定をすることになるでしょう。その行ため自体には資格は必要がありませんが、知識がない素人では妥当な価格を提示できず、顧客からの信頼を失ってしまうことは否めません。そのため、資格がなくとも信頼してもらえるような能力が求められるのです。

信頼を得るための民間資格はある

鑑定をするにも査定をするにも実力を示せる資格があると便利なのは確かでしょう。いかに自分は秀でた知識があると主張しても虚勢を張っているだけだと思われてしまったら意味がありません。客観的に能力があることを示せるのは資格の優れている点で、鑑定士になるにも買取店で査定をするにも持っているに越したことはないと考えられるでしょう。

このような際に役に立つ民間資格として刀剣評価鑑定士があります。刀剣評価鑑定士は全国刀剣商業協同組合によって認定を受けることで取得できる資格で、刀剣に関わる法令、学科知識、実技を求めているのが特徴です。

法令に基づいた取引や管理ができ、刀剣などの知識や鑑識力も持っていて、さらに刀剣を鍛えたり研磨したりする知識もあることが求められます。この資格があれば鑑定する許可が下りるというわけではありませんが、顧客から信頼を得て鑑定士として振舞えるようになることができるでしょう。

 

日本刀の鑑定士になるにはとくに資格は必要がありません。鑑定書を出せるようになるには専門機関で内部審査を受けて認められることが必要ですが、買取店で査定や鑑定をする分には知識があれば大丈夫です。

ただ、知識があって正確な鑑定や査定ができると示せないと顧客からの信頼を失うことになります。刀剣評価鑑定士は全国刀剣商業協同組合が認定している民間資格として、充分な知識があることを客観的に示せる魅力があるので、鑑定や査定をして活躍したいときには取得しておくようにしましょう。

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